なぜ肝吉くんは「減酒」を支えるのか
お酒を飲まないことが、健康リスクを最も下げる選択であることは否定しません。アルコールには、がん、肝疾患、高血圧、睡眠の質の低下、事故やけがなど、さまざまなリスクがあります。飲酒量が少ないほど、そのリスクは小さくなります。
それでも肝吉くんは、「断酒」だけを唯一の入口にはしていません。
なぜなら、現実には「やめた方がいい」と分かっていても、今すぐ完全断酒を選べない人がいるからです。お酒には、味わい、食事、人との時間、習慣、気分転換など、その人なりの意味があります。もちろん、それが健康リスクを消してくれるわけではありません。けれど、その意味を無視して「やめましょう」と言うだけでは、届かないことがあります。
肝吉くんは、そういう人を置き去りにしたくありません。
減酒は、飲酒をすすめることではありません。「このくらいなら安全」と保証することでもありません。減酒は、今ある飲酒習慣による害を、できる範囲で小さくしていくための現実的な入口です。
まずは、自分がどれくらい飲んでいるのかを知る。
飲んだ日と休んだ日で、翌朝の体調や気分がどう違うのかを見る。
休肝日を少し増やしてみる。
飲みたくなる時間帯やきっかけを知る。
自分に合う準備や工夫を見つける。
肝吉くんは、そうした小さな気づきと変化を支えるアプリです。
断酒が必要な人、断酒を選びたい人にとっては、断酒は大切な選択です。一方で、今すぐ断酒は選べないけれど、このままではよくないと感じている人にとって、減酒は大切な一歩になり得ます。
肝吉くんは、断酒を否定しません。
でも、断酒できない人を否定することもしません。
「飲むか、健康か」ではなく、まずは自分に何が起きているのかを見る。そこから、自分にとってのお酒との付き合い方を見つけていく。それが、肝吉くんの考え方です。
減酒が向いていない場合・専門相談が必要な場合
減酒は、すべての人に向いているわけではありません。次のような場合は、肝吉くんだけで抱え込まず、医師・専門機関にご相談ください。断酒が必要なこともあります。
- すでに医師から飲酒を止められている
- 飲み始めると、量をコントロールできない
- 離脱症状がある、または急にやめると危険がある
- 重い肝機能障害、膵炎、心疾患など、飲酒の継続が危険な病気がある
- 妊娠中・授乳中である
- 20歳未満である
肝吉くんは自己管理のためのツールであり、医療・診断・治療の代わりではありません。医師から飲酒を止められている場合は、医師の指示に従ってください。肝吉くんが大切にしている立場については、ハームリダクションという考え方もあわせてご覧ください。
参考にした情報
このページの背景にある考え方は、以下の情報を参考にしています。
- 世界保健機関(WHO 欧州地域事務局)「No level of alcohol consumption is safe for our health」(2023年1月) who.int
- NIAAA「Incorporating Harm Reduction Into Alcohol Use Disorder Treatment and Recovery」 niaaa.nih.gov
- NIAAA「Recommend Evidence-Based Treatment: Know the Options」 niaaa.nih.gov
- NICE(英国国立医療技術評価機構)ガイドライン CG115「Alcohol-use disorders」 nice.org.uk
- 日本精神神経学会誌 第123巻(2021年):治療目標としての断酒・減酒に関する論考 journal.jspn.or.jp
- 日本精神神経学会誌 第123巻(2021年):飲酒行動改善の選択肢としての断酒・減酒 journal.jspn.or.jp
- AUD(アルコール使用症/アルコール使用障害)相談室「治療について」 aud-sodan.jp