お酒のアプリ研究レビュー — 肝吉くんが「記録」を大切にする理由
「肝吉くん」の設計は、思いつきではなく、お酒との付き合い方を扱う研究の知見を参考にしています。このページでは、飲酒を控えるためのスマートフォンアプリを分析したある学術研究を紹介し、その結果が肝吉くんの考え方とどうつながっているかをやさしく解説します。
紹介する研究
Mubin らによる2022年の研究※は、Google Play ストアにある「断酒・減酒を支援するアプリ」20本を集め、利用者のレビュー(コメント)・星評価・専門家による品質評価(MARS)の3つの視点から分析したものです。「どんな機能が利用者に支持されるのか」を読み解き、今後のアプリ設計への示唆を得ることを目的としています。
研究でわかったこと
- 記録中心の「セルフコントロール型」アプリは、励まし中心の「モチベーション型」アプリよりも、レビューで明確に好評でした(行動戦略・使い勝手の両面で)。
- ただし、この差は星評価(数値)には表れませんでした。利用者の本音は、星の数より自由記述のコメントに表れる、という示唆です。
- 支持された具体的な要素は、使い方の案内・オフラインで使えること・読みやすい文字・広告がないこと、そして何よりシンプルな記録機能(カウンターやカレンダー)でした。
「セルフコントロール型」と「モチベーション型」とは
ひとことで言えば、やる気の「燃料」が自分の内側から来るか、アプリの外側から来るかの違いです。
| 観点 | セルフコントロール型 | モチベーション型 |
|---|---|---|
| やる気の向き | 内側から(自分の進捗を見て奮い立つ) | 外側から(アプリが刺激・支えを与える) |
| 代表的な機能 | 記録・日数カウンター・カレンダー・連続記録・節目 | 日々の励ましメッセージ・他の利用者との交流・教育コンテンツ |
| 必要な作り込み | 少なめ(記録機能があれば成り立つ) | 多め(コンテンツや人のつながりを保ち続ける必要がある) |
| この研究での評価 | レビューで好評 | 相対的に好評の声が少ない |
なお、この2つははっきり二分できるものではありません。記録アプリが励ましメッセージも備えるなど重なりがあり、研究では「主にどちらの戦略か」で分類しています。また、どちらも目的は同じ「行動の変化」で、優劣を決めつけるものではありません。
肝吉くんの考え方
肝吉くんは、まさに記録を中心にした「セルフコントロール型」のアプリです。飲んだお酒を純アルコール量(g)で見える化し、体調との関係やリズムを記録することで、あなた自身が自分のちょうどいい飲み方に気づいていくことを応援します。広告はなく、全機能を無料で使えます。
飲む量や休肝日をアプリの側から押し付けないのは、肝吉くんが大切にしているハームリダクションの考え方とも一致しています。断酒・減酒・今のまま——どれを選ぶかはあなた次第です。
ただし、この研究は予備的なもので、レビューも利用者の自己申告にもとづきます。研究は「記録中心が必ず優れている」と断定しているわけではありません。肝吉くんも、研究を鵜呑みにするのではなく、設計を考えるうえでの参考の一つとして大切にしています。
もっと詳しく
この論文の非公式な日本語参考訳(全文)を用意しています。研究の方法や結果をくわしく知りたい方はこちらをご覧ください。
→ 参考訳:飲酒量を抑制するモバイルアプリの予備的評価(全文)
※ 出典:Mubin, O.; Cai, B.; Al Mahmud, A.; Kharub, I.; Lwin, M.; Khan, A. A Preliminary Evaluation of Mobile Phone Apps to Curb Alcohol Consumption. Int. J. Environ. Res. Public Health 2022, 19(1), 135. https://doi.org/10.3390/ijerph19010135
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